プルーンプラム

女子大生の読書ブログ

イニシエーション・ラブを読了して

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

 

イニシエーション・ラブ / 乾くるみ

 を読んで個人的に感じたことを、つらつらと書き記していきます。

 

 

sideAのマユの発言から、

 

「・・・・・・ だって、女の人を器用に扱える人って—それはもちろん、そういう人と付き合うほうが、女の側からすればすごい楽だとは思うんですけど、でも考えてみれば、その人がそうなるまでに、じゃあ今までにいったい何人、女の人を泣かせてきたかって考えると、そんな人は信用できないって思って。だったらもっと真面目で、でもそのぶん不器用だったりするけど、絶対に嘘なんてつけないような人がいいなって、それはずっと前から思ってて」

 

 

 

ここから、マユが何度か恋愛を経験していることに気づくべきだったのではないかと思いました。女の人は、憧れや尊敬出来る部分から恋を始めることがあると思われるからです。このマユの発言は、一通り経験をして、恋愛に疲れた女の人が口を揃えて言い始める台詞ですよ。

 

ここで恋愛経験の少ないたっくんが自分にもチャンスがあると思い込んでしまうんですよね。悪女のわなにひっかかっていますね。

でもそういう人のほうが短時間で落ちるし、順序よく落ちるんですよね。恋愛をゲームに例えるならば、良い獲物ですね。

 

自分が恋をしている相手を見極めるのって、とても大変なことですよね。

ある程度傷つくことを覚悟して、行動しないと、その人との未来は見えないとは私は思いますけれど。草食って言葉で逃げてるようじゃ未来は見えないんですよ。

 

 

 

sideBのたっくんと石丸さんの会話から

 

「彼からはー天童さんからは、お前にとって俺はイニシエーションだったんだって言われた。・・・・イニシエーションって、言葉の意味わかる?」 

「イニシエーション・・・通過儀礼ってこと?」

 

「そう。子供から大人になるための儀式。私たちの恋愛なんてそんなもんだよって、彼は別れ際に私にそう言ったの。初めて恋愛を経験したときには誰でも、この愛は絶対だって思い込む。絶対って言葉を使っちゃう。でも人間にはーこの世の中には、絶対なんて言葉はないんだよって、いつかわかるときがくる。それがわかるようになって初めて大人になるっていうのかな。それをわからせてくれる恋愛のことを、彼はイニシエーションって言葉で表現してたの。それを私ふうにアレンジするとー文法的には間違ってるかもしれないけど、カッコ良く言えばーイニシエーション・ラブって感じかな」

 

恋人が居るたっくんを落とそうとする、悪女として書かれている石川さんは、やはり、あざといなと思いました。

目の前にいる男の人を落とすのに、自分の元恋人の発言を受け売りにしているところとか。

石川さん側が好きだ、好きだとグイグイくるけれど、あるところでたっくんに嫉妬心を抱かせるところとか、最高に悪女じゃないですか。参考にしたいぐらいだなと思いました。 

 

通過儀礼については、わかるなーと思いました。きっと通過儀礼もなく恋愛なんてしたらつまらない人生になるよ。

 

 

 

ここからは、少しネタバレを含みます。

 

読み終わった感想として、実はマユが一番悪いことをしていた、女って怖い!って私に本を紹介してくれた人は言っていたんですけれど、たっくんも同時期に浮気していたのだから、女が怖いとは言えないんじゃないかなって。

私はなんかマユがやっぱりかわいそうだなって感じてしまうんですよね。

 

 

辰也が一ヶ月ぶりに電話をしたのに、すぐに「たっくん」と発したマユだって、

結果的にはその時期の「たっくん」はそっちの「タックン」だったわけだけれど、

タロットカードに裏があるように、裏をかえせば、(順位付けをするのはアレだけれど)マユは、たっくんが一番好きだったことにつながるから、可愛いものじゃないんですかね?

 

私の解釈としては、マユは辰也を愛しているが故に「タックン」を辰也の穴埋めとして利用していたのだから、

浮気がバレないためだけに「タックン」とあだ名をつけた訳ではないのではと思います。

 

 

この小説のよかったところは、時代背景と密接にマッチしているところですね。80年代は私の生まれていない時代だから詳しくは分からないけれど、小説の章立てに使われている曲がsideBでは全曲悲しい恋の曲ってところに驚きました。

 

うーん距離には勝てないんですかね。難しい。

あ、歪んだ恋愛小説ばかり読むけれど、それはフィクションの中だけにおさえてあるのでご心配なく。

私の友人は遠距離恋愛でも成功してるから、繭子と辰也の二人の問題だったのかな。